小学校では7割以上が好きな英語、中学で苦手になるのはなぜ?


小学校では7割以上が好きな英語、中学で苦手になるのはなぜ?


グローバル化に対応するため、文部科学省は英語教育の充実を進めており、現行学習指導要領では小学校高学年に週1時間の「外国語活動」を実施している。ところが、小学校でせっかく英語を学んでも、中学校になると英語嫌いが増えるという新たな問題が生じていることが、同省の「小学校外国語活動実態調査」で明らかになった。ベネッセ教育情報サイトが、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に話を聞いた。


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調査は、小学校5・6年と中学校1・2年の児童生徒を対象に実施しました。それによると、「英語が好き」(「好き」と「どちらかといえば好き」の合計)と回答した子どもの割合は、小5・6が72.3%、中1が61.6%、中2が50.3%でした。逆に「英語が嫌い」(「嫌い」と「どちらかと言えば嫌い」の合計)は、小5・6が10.9%、中1が18.4%、中2が27.0%で、残りは「どちらともいえない」などでした。小5・6は7割以上が英語を好きなのに対して、小5から4年間英語を学習してきた中2になると約5割にまで減少し、しかも約3割が英語嫌いになっています。小学校で外国語活動が実施されても、以前から指摘されてきた「中学校で英語嫌いが増える傾向」は改善されていないようです。


中学校での英語嫌いを増やしている原因として、英語の「読む・書く」という学習が、小学校から中学校の間でうまくつながっていないことが挙げられます。小学校の外国語活動では英語に慣れることに重点を置き、「話す・聞く」を中心にしているからです。英語の「読む・書く・話す・聞く」の4技能を、小学校でいかにバランスよく指導し、中学校でどう伸ばしていくのかが、今後の英語教育の大きな課題といえるでしょう。


また、小学校教員の英語の指力の問題もあります。次期学習指導要領の実施までに小学校教員などの英語の指導力をどれだけ向上させられるかが、これからの英語教育の成果を左右することになるかもしれません。