現在の公立小学校での英語学習状況


小学校における英語教育の現状と課題

出典: 文部科学省 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/06040519/002/002.htm


1 小学校における英語教育の現状と課題


(英語教育の現状)

○現行学習指導要領では、小学校における英語活動は、総合的な学習の時間において各学校の判断により、「国際理解に関する学習の一環としての外国語会話等」が実施されている。その際、「学校の実態等に応じ、児童が外国語に触れたり、外国の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行われるようにすること」とされている。


○「小学校英語活動実施状況調査」(以下、実施状況調査という)においては、公立小学校の総合的な学習の時間において約8割の学校が英語活動を実施しており、特別活動等も含め何らかの形で英語活動を実施している学校は93.6パーセントに及んでいる。第6学年では、英語活動を実施している学校のうち97.1パーセントが「歌やゲームなど英語に親しむ活動」に、94.8パーセントが「簡単な英会話(挨拶や自己紹介など)の練習」に取り組んでいる。また、73パーセントが「英語の発音の練習」を行っている。年間の平均授業実施時数は第6学年で13.7単位時間(1単位時間は45分)である。


○文部科学省指定の研究開発学校や構造改革特別区域研究開発学校(以下、研究開発学校という。)において、教科として英語教育を実施している公立小学校も増えつつある。平成17年度の文部科学省指定の研究開発学校のうち77校が、構造改革特別区域については55の自治体が教科としての英語教育に取り組んでいる。また、私立小学校全194校のうち、平成17年度に英語教育に取り組んでいる学校は、文部科学省による調査に対して回答を寄せた148校のうち135校である。これらの学校からは、小学校段階で英語教育を実施することによって、英語に対する関心・意欲が高まったことや、スキル面で一定の成果があったとの報告がなされている。


(英語教育をめぐる状況)

○「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」(平成15年3月:文部科学省)のなかで指摘されているように、経済、社会の様々な面でグローバル化が急速に進展し、人、物、情報、資本などの国境を越えた移動が活発となり、国際的な相互依存関係が深まるとともに、国際的な経済競争が激化し、果敢な挑戦が求められている。また、地球環境問題など人類が直面する地球的規模の課題の解決に向けて、人類の英知を結集することが求められている。こうした状況の下では、絶えず国際社会を生きるという広い視野とともに、国際的な理解と協調が不可欠になっている。


○「教育課程部会審議経過報告」(平成18年2月)においては、国際化、情報化、科学技術の発展の中で、社会や経済のグローバル化が急速に進展し、異なる文化・文明の共存や持続可能な発展に向けての国際協力が求められるとともに、人材育成面での国際競争も加速していることから、学校教育において国家戦略として取り組むべき課題として、外国語教育が挙げられている。


○グローバル化により、個々人が国際的に流通する商品やサービス、国際的な活動に触れ、参画する機会が増大するとともに、誰もが世界において活躍する可能性が広がっている。さらに、IT革命の進展により、国を超えて、知識や情報を入手、理解し、さらに発信、対話する能力、いわゆるグローバル・リテラシーの確立が求められている。また、インターネットの普及や外国人労働者の増加などによって、国内においても外国語でコミュニケーションを図る機会が増えている。


○英語は、国際的共通語として最も中心的な役割を果たしており、コミュニケーションのツールとなっている。世界では英語を母語、公用語、準公用語とする人々が多い。21世紀を生き抜くためには、国際的共通語としての英語のコミュニケーション能力を身に付けることが不可欠である。


○第3回APEC(エイペック)教育大臣会合共同宣言(2004年4月)においては、「英語及び他の外国語の学習の重要性は、伝統的な意味での生徒に限らず、それを労働者、中小企業家、女性、不利な立場にある人々がグローバル化した世界とうまく交流できるように拡大することである」としている。


○こうしたなか、例えば我が国のTOEFL(トーフル)の平均スコアはアジア諸国の中で下から2番目に位置している。受験者の数や特性が異なるため単純な比較はできないが、日本人の英語運用能力は国際的に見て十分でないことを示すものであるという指摘もなされている。日本人自身の一層の国際化及び国際社会で活躍する人材の養成のために、国家戦略として英語教育の充実を図る必要がある。

○国際的には、国家戦略として、小学校段階における英語教育を実施する国が急速に増加している。例えば、アジアの非英語圏を見ると、1996年にタイが必修化し、97年には韓国、2001年には中国が段階的に必修化を開始した。EUにおいては、母語以外に2つの言語を学ぶべきとし、早い時期からの外国語教育を推進している。例えば、フランスは2002年に必修化の方針を決定し、2007年から実施する方向で取組を進めている。


○なお、英語以外の外国語教育も、重要な課題である。高等学校を中心に外国語教育の中で中国語など英語以外の外国語を開設している学校もある。国際社会に生きる日本人の育成のためには、アジア諸国等とのコミュニケーションを促すという観点から外国語教育の在り方を検討することも必要である。この場合においても、小学校における英語教育が後に英語以外の外国語を学習するに当たって、有効に機能するという利点があると考えられる。


(保護者や教員の意識)

○英語教育意識調査や「義務教育に関する意識調査(平成17年3月~4月実施)」(以下、義務教育意識調査という)では、保護者の約7割が小学校段階からの英語を必修とすることに積極的な回答をしている。また、教職員に関しては、英語教育意識調査では、教員の36.6パーセント(ただし校長の53.4パーセント)が積極的な回答をしている。さらに、義務教育意識調査では、学校評議員の53.7パーセント、首長の58.2パーセントが積極的な回答をしている。


○我が国においても、多くの小学校において、総合的な学習の時間などにおいて英語活動が実施されているが、「小学校の英語教育に関する意識調査(平成16年6月実施、公立小学校230校を対象)」(以下、英語教育意識調査という)では、保護者や教員の一部から、「学校によって英語を教えているところと教えていないところがあるのは問題だと思う」との指摘もなされている。


○同調査では、保護者や教員からの回答として、英語活動によって子どもたちに生じた変化として、「英語に興味や関心を持つようになった」との意見が数多く寄せられている。また、「外国の人と臆することなく接しようとするようになった」、「外国の文化などに興味や関心をもつようになった」ことなどもあげられている。その一方で、「今のところあまり変化は見られない」との回答も相当数示されている。

(小学校における英語教育の充実の必要性と検討すべき課題)


○外国語専門部会としては、次のような状況にかんがみ、小学校の英語教育を充実する必要があると考える。


・小学生の柔軟な適応力を生かすことによる英語力の向上

  最近の子どもたちは、テレビなどを通じて外国人や異文化と接する機会を相当程度持っており、英語活動への抵抗感は少ないと思われる。また、現在は中学校において挨拶、自己紹介などの英語に初めて接することとなるが、こうした活動はむしろ小学校段階での活動になじむものと考えられる。さらに、小学生の柔軟な適応力は、コミュニケーションへの積極的な態度の育成や、英語の音声や基本的な表現に慣れ親しむことに適しており、将来実践的コミュニケーション能力を育成するうえでの素地となるものと考えられる。


・グローバル化の進展への対応

  小学校での英語教育については、グローバル化が進展する中でその必要性が高まっており、国際的にも急速に導入が進められている。また、保護者や行政関係者からも必修とすることについて積極的な回答が多数寄せられており、研究開発学校の仕組みを活用して教科としての英語を導入する小学校が増加している。今後は、小学校での英語教育を充実することにより、次世代を担う子どもたちに国際的な視野をもったコミュニケーション能力を育成する必要があると考える。


・教育の機会均等の確保

  現在でも、90パーセントを超える小学校において、総合的な学習の時間などで英語活動が行われているが、活動の内容や授業時間数には相当のばらつきがある。一方で、教科としての英語教育を実施する学校が増加していることを考慮すると、教育の機会均等を確保するという観点、特に中学校教育との円滑な接続を図るという観点から、中学校に入学したときに共通の基盤が持てるよう、必要な教育内容を提供することが求められると考える。


○こうしたことから、外国語専門部会としては、小学校段階における英語教育の充実を図るため、すべての学校で共通に指導するとした場合の教育内容について検討している。その際、慎重な意見も相当程度あることから、教育目標や内容の設定の在り方、教育課程上の位置付け、条件整備等について、十分に検討する必要があると考える。


○外国語専門部会では、以下に、小学校段階における英語教育の目標と内容についての考え方を整理するとともに、慎重な意見がその理由として挙げている、国語力の育成との関係、中学校と高等学校の英語教育との関係、指導者などの条件整備などの問題について、今後の検討の方向性を示すこととする。



小学3年生から英語教育、本当に効果あるのか?

出典: HUFF POST SOCIETY 社会 

     http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/22/start-english-education-at-the-third-grade-level_n_4146838.html


小学3年生から英語教育、本当に効果あるのか?【争点:教育】

文部科学省が、小学校3年生から英語教育を開始する方針を固めた。しかし、小学校3年生から英語を始めても、英語はうまくならない理由があるという人もいる。どうしてだろうか。


文部科学省は10月23日、小学校3年生から英語教育を開始する方針を固めた。2011年度から公立小学校の5、6年生において必須となっていた「外国語活動」を、正式に教科に格上げする。初等教育の段階からグローバル化に対応した教育を充実することで、世界の中で戦える人材を育成することが狙い。東京オリンピックが開催される年と同じ、2020年までの実施を目指すという。47NEWSが報じた。


 正式な教科でない「外国語活動」として実施している小学校英語の開始時期について、文部科学省が現在の小5から小3に前倒しする方針を固めたことが23日、同省への取材で分かった。3、4年は週1~2回、5、6年は週3回の実施を想定。小5からは教科に格上げし、検定教科書の使用や成績評価も導入する。


(47NEWS「英語教育、小3へ前倒しへ 5、6年は正式教科に」より。 2013/10/23 11:31)

小学校における英語教育は、小学5・6年生で年間35単位の「外国語活動」として2011年度から必修化されているが、歌やゲームなどを通じて、英語に親しむ内容に留まっている。この内容を小学校3年生程度から始めるとし、小学校高学年においては、現在中学校で学習している内容を学ぶことも検討されるようだ。


正式な教科となる5、6年の授業では、基本的な読み書きなど中学校の学習内容を一部取り入れる。主に専門教員が担当するが、担任が指導するケースも。


(MSN産経ニュース「英語教育、小3へ前倒し 5、6年は正式教科に 文科省が方針」より。 2013/10/23 13:20)

グローバル人材の育成に関する議論を行っていた政府の教育再生実行会議は、今年5月28日に「これからの大学教育等の在り方」に関する第三次提言を下村博文・文部科学相に提出。この中で、フランスでは小学校1年生から、ドイツでは小学校3年生から英語教育を開始しているなどの非英語圏諸国の例をあげ、英語教育実施学年の早期化を提言している。


進学塾を運営する「成基コミュニティグループ」代表の佐々木喜一氏は、教育再生実行会議の中で、中国や韓国の英語教育事情と日本の状況を比較し、次のように話している。


学校で学ぶ英語の単語数は、中国は 6,150 語、韓国は 8,200 語、台湾は 5,180 語であるのに、日本は 3,080 語。このままだと日本はグローバル時代に勝っていけない。現状の学習指導要領と TOEFL の内容には大きなギャップがある。特にスピーキングにおいて日本人の TOEFL の点数が低い。日本人に語学力がないとは思わない。小学校低学年から英語学習を始めて、鍛えていくべきである。現在の学習指導要領をベースにしてはダメである。


(「教育再生実行会議(第7回)議事要旨」より。2013/05/08)

下村文部科学相は国内でもすでに、小学校1・2年生から英語教育を実践している研究開発学校が相当数あると述べ、今後、英語学習の早期開始を検証して行くと話していた。


しかし、英語教育開始時期の引き下げについては懸念点も多い。最も多いのが、教員の確保と質に関するものだ。



「知る」小学校英語の基礎知識

出典: Kids English https://www.seibido.co.jp/kids/know/know1-1_2_2.html


「知る」小学校英語の基礎知識


公立小学校の英語活動の現状


全国でどの程度の学校が、どのくらい英語活動(英語教育)を実施しているのでしょうか?

文部科学省の平成16年度調査では、92.1%の小学校が何らかの形で英語活動を実施、平均的には年間10時間程度の取り組みとなっています。


2000年度(平成12年度)から実施可能となった英語活動ですが、2002年度(平成14年度)の調査では、「総合的な学習の時間」の中で英語活動を行った小学校は5割強程度。しかし2003年度(平成15年度)の調査では、全国の公立小学校のうち88.3%が、「『総合的な学習の時間』を含め、何らかの形で」英語活動を実施したという結果になりました。さらに2004年度(平成16年度)には92.1%が英語活動を実施したという結果が出ています。


一方、英語活動の実施時間については、年間で4~11時間未満という取り組みの割合が最も多く、週1時間以上(年間35時間程度以上)実施している学校は1割程度となっています。


指導にあたっているのは学級担任であるという回答が約9割あるものの、英語活動の時間の6~7割においてALT(外国語指導助手)が参加しているという結果から、学期に2~3回ほどあるALTの訪問がある際に、英語活動が行われているという平均像が浮かび上がってきます。


活動内容の中心的なものは、「歌やゲームなど英語に親しむ活動」「あいさつや自己紹介などの簡単な会話」であり、絵本やカード、CDなどの音声教材の使用が多く見られる結果となっています。


市町村の取り組みとして、独自に「手引き」「教材」等をすでに作成している自治体は、5-6%程度にとどまっています。



小学校英語の実態と課題を探る

出典: ベネッセ教育総合研究所 http://berd.benesse.jp/berd/center/open/berd/backnumber/2006_07/ren_kutsuzawa_01.html


*文中の表については、リンク先を参照ください。


小学校英語の実態と課題を探る

─全国3503人の教務主任への調査から─

沓澤 糸[ベネッセ教育研究開発センター主任研究員]


公立小学校への英語導入は、今や社会的な関心事の一つになっている。

しかし、実際にはすでにほぼすべての小学校が英語教育(活動)を行っており、その内容は学校によってさまざまだ。

今後、小学校英語に関する議論が行われる場合、こうした小学校での現状とその課題を具体的に把握し、そこから議論を深めていくべきではないか。

このような問題意識の下、ベネッセ教育研究開発センターで行った「小学校英語に関する基本調査(教員調査)」の結果から、小学校英語の実態と課題を紹介する。

●調査概要

調査テーマ: (1) 公立小学校における現在の英語教育(活動)* の実態把握

       (2) 小学校英語についての教員の意識把握  

*現在、小学校では一般に「英語活動」といわれているが、本調査では「英語教育」と表記している


調査方法:郵送法による質問紙調査

調査時期:2006年7月~8月

調査対象:全国の公立小学校の教員(教務主任)3,503名

       (配布数10,000通、回収率35.0%)  

全国の公立小学校のリストより、無作為に10,000校を抽出し、教務主任に回答を依頼  

なお、本調査の報告書(速報版)はベネッセ教育研究開発センターウェブサイト http://berd.benesse.jp/berd/ で読むことができる


小学校英語を取り巻く状況

公立小学校への英語導入に関しては、新聞・テレビなどのマスコミでも多く取り上げられており、今や社会的な関心事の一つになっている。しかし、小学校英語に関する議論は今に始まったわけではなく、1986年の臨時教育審議会以降、これまで実に20年間にわたってさまざまな議論や試みが行われてきた。この間、中国・韓国などの近隣諸国では小学校への英語導入を進め、課題はあるものの成果を上げつつある。日本においても、研究開発学校や特区などの施策、中教審答申や学習指導要領の改訂などの影響を受けながら、全国のほぼすべての小学校において英語教育(活動)が行われるようになった。

一方で、研究開発学校や特区などの先進的な小学校英語の取り組みに関してはマスコミでも目にすることが多いものの、日本全国約22000校に上る公立小学校での実態についてはあまり目にすることはない。

小学校英語については、今後の方向性が中教審・外国語専門部会から出されているが(2006年3月)、その議論や具体的な内容を検討するためには、小学校での現状とその課題を具体的に把握し、これに基づいて議論を深めていくことが必要ではないかと思われる。

このような問題意識の下に、ベネッセ教育研究開発センターでは「小学校英語に関する基本調査」を計画した。この調査は、教務主任を対象とした「教員調査」と、小学生の保護者を対象とした「保護者調査」の二つの調査から構成されており、それぞれの意識・行動の実態と、教員、保護者、さらには行政の施策との関係性やギャップについて分析するものである。今回は、すでに調査が終了した「教員調査」より主な結果を取り上げながら、小学校英語の実態と課題について報告する。



小学校英語の実態 (1)

小学校で英語教育はどの程度行われているのか


図表[1]学年別実施率と教育課程上の位置付け まず、公立小学校での英語教育の実施率について見てみたい。何らかの形で英語教育を行っている小学校は94.0%に上る。文部科学省が行った同様の調査(小学校英語活動実施状況調査、2005)でもほぼ同様の結果であった。さらに、学年別に見てみると、低学年では約80%、高学年になるとほぼ100%に近い実施率となっている(図表1)。小学校3年生からは「総合的な学習の時間」が始まるため、この中で英語活動を行っている学校がほぼ9割だが、「総合的な学習の時間」がまだ始まっていない小学校1、2年生についても高い実施率であったことから、小学校英語の広がりが改めて確認された。ちなみに、低学年では「教科もしくはそれに準じるもの」という回答が約4割だったが、これは生活科などの時間を使っているものと思われる。また、学校裁量の時間である「創意の時間(創意を生かした教育活動)」や課外のクラブ活動などでも英語活動は行われていると推察される。これらのデータから、学校がさまざまな工夫をして英語活動の時間を確保しているという実態が見える。

図表[2]英語教育の開始時期  それでは、小学校における英語教育は、いつごろから始まったのだろうか。図表2を見てみると、2001年度以前、つまり5年以上前からすでに英語教育を行っている学校が、全体の4割以上を占めていることが分かる。「英会話」が明記された現行の学習指導要領が実施されたのは2002年度からだが、その前の移行期間や、さらにそれ以前から英語教育に取り組み始めていた学校が多くあると思われる。公立小学校への英語教育導入については、現在もその是非について論議されているが、実際にはかなり以前から、すでに多くの小学校で英語教育は始まっていたということになる。

図表[3]英語教育の年間時数  次に、英語教育が小学校で年間どれくらい行われているのかを見てみたい。図表3は、低・中・高学年別の年間時数を示したものだが、いずれも年間15時間未満、つまり月1回程度以下の学校が過半数を占める。

学年が上がるにつれて時数は増える傾向にあり、特に高学年では、年間35時間以上、つまり週1回以上行っている学校が14.6%に上る。ちなみに年間時数の平均は、低学年が約9時間、中学年が約15時間、高学年が約16時間となっている。これらのことから、英語学習の年間時数は、学校によってさまざまではあるものの、高学年になるとその時数は総じて増えていく傾向にあることが分かる。



小学校英語の実態(2)

英語教育の指導者は誰なのか


図表[4]中心となっている指導者(n=3,292人) 小学校の中で、子どもたちに英語教育を実際に行っているのは誰なのか、データを通して見てみたい。英語教育を行っていると回答した学校に対して、「英語教育に関わっている人」について尋ねたところ、「外国語指導助手(ALT、AETなど)」が92.1%、「学級担任」が86.5%と、圧倒的にこの二者で行っている場合が多かった。実際に小学校では、ALTと学級担任とのチーム・ティーチングで英語活動を行っている場合も多いようである。

 次に、「中心になって教えている指導者」を尋ねたところ、「外国語指導助手(ALT、AETなど)」が約60%と、学級担任の約2倍の回答比率だった(図表4)。使用している教材について尋ねた項目でも、「ALTなど外部人材・機関が制作した教材」が過半数を占めるという結果が出ており、ALTなどの外部人材・機関が英語教育を担っている小学校が多い実態が見えてきた。

図表[5]外国語指導助手の来校頻度(n=3,292人)  それでは、そのALTはどの程度の頻度で来校するのだろうか。「外国語指導助手(ALT、AETなど)の来校頻度」について尋ねたところ、「月1回程度」が22.1%、次いで「月2、3回程度」が20.8%、「2、3か月に1回程度」が17.9%という結果だった(図表5)。月1回前後の来校時に、多い場合は小学1年生から6年生までの英語教育をカバーするということになると、各学年の子どもたちがALTと接する頻度は、来校頻度よりもさらに低いということが推察される。つまり、ALTと学級担任とがチーム・ティーチングできるのは月1回前後より少ないため、英語教育の実施頻度はこの来校頻度に依存して決められている場合も多いと推察される。また、それ以上の頻度で英語教育を行おうとする場合は、学級担任が中心とならざるを得ない。

図表[6]校内研修の頻度(中心となる指導者別)  それでは、教員が英語を教えるために必要な研修はどの程度行われているのか。教員研修には、主に教育委員会など校外で行われる研修と、校内研修の2種類があるが、ここでは校内研修の実施状況のデータを取り上げてみる。校内研修について、実際の授業で中心となる指導者別に、その頻度を見たものが図表6である。「外国語指導助手(ALT、AETなど)」が中心となっている学校では、校内研修を実施していない割合が6割以上に上る。「学級担任」が中心となっている学校でも、校内研修を実施していない学校は36.6%あるが、「月1回程度」または「月1回以上」行っている学校も1割以上あり、中心となる指導者によって、研修状況も異なることが分かる。

 ALTなどの外部人材を中心とした英語教育の実施状況では、その来校頻度などから取り組みが規定され、また教材など教える内容についても外部に依存した状況が垣間見える。一方で、学級担任が中心となって英語教育を行っている場合には、校内研修などの実施頻度も相対的に高く、教員の指導力を高めていこうとする傾向が見られる。



小学校英語の実態 (3)

英語教育の内容と課題


図表[7]英語教育の内容(n=3,292 人) 現在、小学校で実際に行われている英語教育の中身とはどのようなものなのか。「英語教育の内容」について尋ねたところ(複数回答)、「英語の音やリズムに触れたり、慣れたりする活動」についてはどの学年でも8割以上が行っており、また中学年・高学年では9割以上が「英語を聞いたり話したりする活動」を行っていると回答した(図表7)。中学校で本格的に英語を学び始める前の段階として、英語嫌いをつくらない、英語に慣れて英語学習への動機づけを行うということを重視している学校が多いものと思われる。また、音声的な感覚が優れているといわれている児童期までの時期には、英語の音に触れさせることが重視されていると思われる。

一方で、割合としては相対的に少ないものの、「英語の文字や文章を読む活動」が、高学年では3校に1校の割合で行われている。小学校での英語活動における文字の扱いについては、中学校英語の前倒しとなることへの懸念から慎重な議論が多い。しかし一方で、特に低学年から歌・ゲームなどの英語活動を続けている学校では、高学年で何を教えるべきかが指導の課題となっている場合も多いといわれる。文字の扱いの是非を含め、現在行われている指導の実態についても、今後さらに詳細な調査研究を行う必要性を感じる。

次に、「英語教育を行う上で必要となる条件など」について、十分かどうかを尋ねた項目を取り上げる(図表8)。「十分である」が過半数を超えたのは「子どもの積極性」の1項目のみで、他のすべての項目では「十分である」という回答が半数を下回った。特に、「教材の開発や準備のための時間」では、実に92.7%が「十分でない(「どちらかといえば十分でない」を合わせて)」と答えており、その他、「英語教育に関する教員研修」「英語教育に使える予算」などが続く。これらの結果から、子どもは英語教育に対して意欲的ではあるものの、教員がそれに応えて英語教育を行うには、「ヒト・モノ・カネ・時間」というリソース(資源)が圧倒的に不足していることが分かる。特に、時間を含めて英語教育を行う「ヒト」に関わる課題は多く、教員研修などを含め早急な条件整備が必要であると考える。



教員の意見 (1)

小学校英語への賛否と開始学年


図表[9]英語教育に対する教員の賛否(n=3,503人) 本調査では、前項までの小学校での英語教育の実態だけではなく、回答した教員個人の英語教育への意見・意識についても尋ねている。ここからは、その主だった結果について取り上げていく。

まず、「小学校で英語教育を行うことについて」の賛否については、回答した教員の3人に2人が賛成しており、小学校の中で英語教育を行うこと自体に対する必要性は認めていることが分かる(図表9)。すでにほぼすべての小学校が何らかの英語教育を行っている現状を考えれば、この回答は当然の結果であるという見方もできる。

しかし、「小学校で英語を必修にすることについて」では56.9%、「国語や算数などのように小学校で英語を教科として扱うことについて」では69.0%が反対している。これは、前ページの図表8「英語教育の現状」にも示された通り、現在の小学校で英語教育をある程度の頻度で行うには、さまざまな資源が不足しており、負担が非常に大きいという現状が背景にあるものと思われる。また、必修化よりもさらに教科化の方が反対が多いという点については、教科では評定を含む評価を行うということが影響しているのではないかと推察されるが、この点については今後詳細な分析を行う必要がある。

図表[10]小学校英語の望ましい開始学年(n=3,503人)  それでは、小学校における英語教育の開始学年についての希望はどうか。「望ましい開始学年」について尋ねたところ、「小学校1年生」が45.6%と半数近くを占めた。次いで「小学校3年生」が約2割であった。これらのことから、教員の多くは低学年か中学年には英語教育を始めた方がよいと考えていることが分かった(図表10)。

これは、低学年など年齢が低い方が、英語自体にも、また英語教育として多く行われている歌やゲームなどの活動にも抵抗感なく取り組みやすいことが影響していると思われる。また、実態として、低学年においてもすでに8割以上の学校で英語教育を実施していることを考慮すれば、低学年からの開始を望むというこの結果も当然であると思われる。


教員の意見 (2)

教員の英語教育に関する意識

次に、英語教育全般に関する教員の意識について尋ねた結果を取り上げる(図表11)。「今後の国際環境を考えると、英語が話せるようになることは必要だ」という項目に対して、約9割の教員が「そう思う(とても+まあ)」と答えている。また、「英語はできるだけ早い時期から学ぶのがよい」という項目に対しても、およそ3人に2人が賛同している。さらに、「小学生から英語を学んでも効果は少ない」という項目に対しても7割以上が否定的、つまり多くの教員は小学生段階からの英語教育には効果があると考えている。これらの結果から、教員の多くは英語教育の重要性を強く認識しており、しかも早い時期からの教育が必要かつ効果的と考えていることが分かる。

一方で、「授業をあと1時間増やせるのなら『英語』がよい」という項目に対しては、「そう思わない(あまり+まったく)」が7割以上を占める。これは、小学校の現状の中で、英語教育以外にも優先すべき課題が多いと考えているのではないかと推察される。また、英語学習の母語へのプラスの影響についても、同様に否定的である。この点については、社会的にもさまざまな意見が出されているが、実証的な研究はまだ少なく、今後の調査研究が待たれる点でもある。

図表[11]英語教育に関する意識(n=3,503人)

図表[12]身に付けるべき英語力(n=3,503人)(%)  最後に、「すべての子どもが大人になるまでに身に付ける必要がある英語力」について尋ねた項目を取り上げる(図表12)。最も回答が多かったのは「挨拶や簡単なやりとりなどの平易なコミュニケーションができる程度の英語力」(49.6%)、次いで「日常生活において通常のコミュニケーションができる程度の英語力」(37.3%)であった。「必ずしもすべての子どもが英語を身に付ける必要はない」という回答は8.8%に過ぎず、ほとんどの教員はすべての子どもたちが大人になるまでに英語力を身に付けるべきだと考えていることが分かる。

身に付けるべき英語力の程度について意見が分かれるところだが、実はここが小学校英語を考える際の大きな問題点の一つであるともいえる。現在の小学生が社会で活躍するであろう2020年以降の日本において、国民に求められる英語力とはどのようなものなのか。そこに向かって、小学校のみならず、中学校・高等学校・大学での英語教育はいかにあるべきなのか。小学校英語についても、このような一貫した英語教育の枠組みの中で議論しグランドデザインを描いていくことが、今後必要なのではないかと考える。



英語の小学校での必修化

出典: 子供・幼児の英語教材比較なび  http://www.kodomo-english.net/hituyou/


英語の小学校での必修化


2011年度より、小学校で英語が必修になりました。


小・中学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置案関係資料

文部科学省 外国語教育


国際化社会になり、ますます英語の需要・必要性が高まっています。


今まで中学生からだった英語が、小学生から学ぶ始めるのは必然かもしれませんね。


家庭の教育方針、考え方が重要


私個人の意見ですが、必要か不必要か?

これは、そのご家庭の考え方次第だと思います。


小学校英語の大切さ

出典: ベネッセ教育総合研究所  http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2006/kyouin1_4_3.html


小学校英語の大切さ


上智大学外国語学部教授

吉田研作

 今、公立小学校への英語教育導入をめぐる議論が盛んです。実際に、全国の9割を超える小学校ですでに何らかの形で「英語教育」が行われていますが、熱心な自治体や学校とそうでないところがある実態や、小学校で英語を教える意義についてはあまり知られていません。ここでは、我々の調査結果から見た小学校英語の実態について概観し、その上で、日本の小学校英語が今後どうなっていくのかについて、私の考えを述べたいと思います。


 1.本調査結果の概観

 すでに多くの小学校で英語教育が行われていますが、文部科学省(以下、文科省)の調査(「小学校の英語教育に関する意識調査」2004)をみると、小学校英語の必修化などの本格導入について、教員は保護者に比べて消極的であるなどの結果が出ています。そこで、小学校の英語教育の実態や教員の意識について、さらにもう少し細かく把握することを目的として、本調査は実施されました。

 本調査の結果からは、小学校英語のさまざまな実態や教員の意識について、改めていろいろと見えてきました。調査結果から明らかになったことの1つに、英語の年間時数で分類すると学校ごとの違いが見えてくる、ということがあります。たとえば、英語の年間時数が多い学校ほど、「うまくいっている」と感じています。また、「外国語指導助手(ALT、AETなど)」が中心となって指導している学校は多いものの、年間時数が多い学校では「学級担任」が積極的に英語の授業に関わっていることなどがわかりました。


(1)行政は早期対応を


 一方で、「中学校との接続・連携」「教材開発の時間や準備のための時間」「英語教育に関する教員研修」などさまざまな条件が不足していることが本調査からわかり、整備すべき課題も見えてきました。なかでも、中学校との連携は非常に重要な問題です。中学校・高校を含めた英語教育全体を再構築しながら、小学校英語のあり方を考えることが必要になると思います。また、英語の年間時数によっても学校が抱える課題に差が見られます。年間時数が多い学校ほど、教材開発やALTとの打合せ時間の確保が課題と感じているようです。


 こうしたことから、小学校における英語教育の必修化の実現のためには、文科省や地方自治体の教育委員会がその準備にどのくらい力を注げるかがポイントになるでしょう。たとえば、教材面では、単に教材を提供するだけでなく、その使い方を含めたトレーニングを行っていけるか。研修面でも、英語の授業に携わる先生方すべてに2~3週間という集中した研修時間が必要になった場合、それができるか。もし文科省だけで行うのが難しければ、まず、地方自治体の指導者向け研修を集中的に行い、その人たちが各自治体で指揮をとっていくような形が実現できるか、などです。小学校英語の必修化が早く決まれば、それだけ早く準備に入れます。はっきりとした計画を立てて予算がとれれば、必修化されるまでに、ある程度のことはできると思います。


(2)小学校教員の意識


 さらに英語の必修化に対する賛否については、小学校の先生方の意見が分かれています。先生方には、先に述べた条件面が整備されないまま英語が必修化され、負担がさらに増すことや、英語指導そのものへの不安があり、納得してもらうのはなかなか難しいでしょう。しかし、今回の調査結果から、先生方は小学校から英語教育を行うことに対して反対しているわけではないこともわかりました。早い時期から英語を学ぶことは有効と考えている先生も多くいるようです。先生方は、「いろいろな課題を抱えているけれど、やってみようよ」という勇気はもっていると私は思います。そういう意味で、条件整備を進めることがとても重要だと思います。

 2.小学校英語の意義とは

 ここまでは、我々の調査結果からみた小学校英語の実態について述べてきましたが、以降は小学校英語の重要性やその意義について述べたいと思います。


(1)小学校英語のこれまでの流れ

 

 公立小学校での英語教育は、国際化が急速に進む中、当初は産業界の要請を受ける形で検討が始められ、既に20年がたちました。1992年から研究開発学校での実践研究が始まりましたが、それらの学校の研究成果は、残念ながら汎用性を持つものではなく、どこの学校でもすぐにそのまま実践できる内容ではありませんでした。

 その後、2002年から新学習指導要領の実施に伴い、「総合的な学習の時間」を使った英語活動がどの学校でも可能になりました。そして2006 年3月、中央教育審議会の外国語専門部会が「小学校5年からの英語必修化」を提言しました。正式に決まれば、2010年から全国の公立小学校で5年生以上が全員英語を学ぶことになっていましたが、その後、いじめ問題、高等学校の必修科目未履修問題などが明るみに出たことが影響して、中央教育審議会での最終答申が出ないまま、今日に至っています(2007年3月現在)。実施時期については、遅れる可能性が出てきましたが、教育課程審議会では、既に小学校からの英語教育の必修化について、外国語専門部会の答申通りの報告が承認されていますので、小学校英語導入の方向性は変わらないものと思います。


(2)学校による違いと教員研修の重要性

 

 このように、小学校で英語をやるべきだ、という風潮や意見は強まってきているものの、まだ正式な教科となっていないために、何を教えるのか、誰が教えるのか、教材はどうするのか、という根本的な問題について、公教育として統一されたものがないまま今に至っています。その結果、今、どういうことが起こっているかというと、熱心に独自の英語教育に取り組み、成果を上げている自治体があるかと思えば、ほとんど成果が上がっていない学校も多い。つまり、調査結果からもみられるように、学校間の格差が非常に広がってきています。必修にすることで、少なくとも5 年生以上は、学校間の格差をなくすことが一つの大きなねらいですが、それによって、小学校の英語教育を、汎用性のあるきちんとしたものにしていく必要があります。

 こうした取り組みを進めていくにあたっては、小学校の先生たちは英語を教えることを前提に教員になったわけではないので、教員への研修をきちんと整えなければいけません。ALT や日本人の英語指導者とのティーム・ティーチングをどう生かすかも含めて、研修についてはそれぞれの地域の教育委員会がきちんと方針を決め、プログラムを作っていく必要があります。また各学校も教育委員会に任せるのではなく、主体的に英語教育に取り組むことが大切です。


(3)英語の重要性の高まり

 

 なぜ小学校に英語が必要なのか。私は大きく二つの理由があると思います。一つは、世の中、世界の流れです。良い悪いは別として、今は英語の力がないと、国際社会で主張していくことができません。EUなどでは、三言語主義が主張されていますが、それは、母語、近隣諸国の言語を一つ、それに、近隣諸国以外の人とコミュニケーションをするための英語、です。日本人も、お隣の韓国や中国との今後の関係を考えたとき、韓国語や中国語を学ぶ必要性が高まっていくでしょうし、それらの言語の教育をもっと盛んにしていかなければなりません。しかし、日本には、年間670万人以上の外国人が訪れていますし、約1700万の日本人が海外に出ていっています(平成16年)。そうなると、単に近隣諸国の言語のみならず、世界中の人とコミュニケーションできなければなりません。そして、その時に必要となるのは、現在、国際語として使われている英語です。特に、20年、30年後の世界を考えたとき、日本の子どもたちが大人になった時には、どうしても英語ができなければ日本人は世界から取り残されてしまうでしょう。

(4)小学校から英語を始める必要性


 小学校に英語が必要なもう一つの理由は、中学校から始めるのでは遅い、ということです。中学校から始めた英語でものになっていないという現状があるわけですから、それを少しでも改善するためには、英語開始年齢を下げることが重要です。英語に慣れ親しみ、英語を体で覚えられる時期に取り入れる。コミュニケーションとはどういうものか、文法などの構造的知識をあまり考えずに、遊びの中でコミュニケーション自体を楽しめる年齢から始めるということが、非常に大切なのです。


 体験があって、後から文法や知識を学ぶことによって、あのときやっていたのはこういうことだったのか、とわかる。中学校、高校では「オーラル・コミュニケーション、実践的コミュニケーションの基礎をつくる」と言っても、一方で文法は教えなければならないし、書くことも教えなければならない。これらをすべて行うのは、中学校の週3時間ではとても無理でしょう。また、たとえ、中学校での英語の時間数を多少増やしたとしても、短時間に集中して英語による実践的コミュニケーション能力を身につけさせるのと同時に、文法などの言語形式を同時並行に無理なく学ばせるのは非常に難しいことです。だからこそ、小学校では、まず、実践的にコミュニケーションをするという体験をさせ、ことばというものが本来コミュニケーションの道具であることを実感させることが大切なのです。


 その意味で、5年生からの必修化というのはぎりぎりのところです。できれば3年生から、理想的には1年生からやってほしい。早くから英語に触れることによって、耳が慣れ、英語に慣れる時間が増えるのが望ましいと思います。本調査の結果でも、教員の約半数が英語教育の望ましい開始学年を小学1年生と回答しています。ただ、少なくとも5年生から始めれば、実践的なオーラル・コミュニケーションの部分を多少なりとも小学校で担うことができるので、中学の3年間で教えなければならないことを充実させることができます。


(5)小学校英語の目的とは


 つまり、小学校英語の目的とは、英語の知識を学ぶことではなく、英語によるコミュニケーションを体験することです。学校はそのことをきちんと説明できなければなりませんし、そのためにも必修化して、小学校英語の方針を決めることが必要です。小学校に英語を導入することで、小・中・高それぞれの英語教育の役割を明確にし、発達年齢に応じた最適な教育内容を今こそ考えるべきときなのです。

 机に向かってするばかりが勉強ではありません。英語の授業で子どもたちが体を動かしたり、遊びの要素を入れた学習活動でいきいきと学んでいる姿を見て、先生たちも従来の授業のやり方を変えてみようという動きがあちこちで起こっています。英語を教えることが他の教科にもいい影響を与え、学校全体の活性化につながっているところが多いのです。


 一方で、遊んでいるだけじゃないか、歌を歌っているだけで何になるのか、という批判もあります。しかし、人は遊びからたくさんのものを学ぶのです。勉強は苦労と苦痛を伴うもので、それを通して「忍耐」することを学ぶことが大切だ、という人もいます。しかし、私たちが何かを学ぶ一番の環境は、時間を忘れて「面白い」と思える時です。自ら、「出来た」「通じた」「分かった」という体験をすることが最も大切なのです。しかし、これらの体験は、必ずしもことばで説明できるものではありません。コミュニケーションは、ことばだけでなく、その場の雰囲気、ジェスチャー、顔の表情、服装など、さまざまな要因から成り立っています。事実、ことばがコミュニケーションに果たす役割は30%程度、という人もいるぐらいです。読み書きなど、ことばそのものが分からなければコミュニケーションができない状況は、中学校や高校、また、大学等で学んでいく必要があります。しかし、小学校では、コミュニケーションをすることの楽しさや喜びを味わうことが大切です。ですから、子どもが、学校から帰宅し「今日、学校で英語やったよ。楽しかったよ」と言ったときに、親がいきなり、「英語で話してごらん」とか「どんな単語覚えた?」などと言わないようにしなければなりません。「何を習ったの?」と聞かれても、たぶん子どもはあまり答えられないでしょう。しかし、だからといって何も学んでいないということはありません。彼らは、英語によるコミュニケーションを体験し、その中で、「やった!」という体験をしているのです。


 小さいうちは、理屈ではなく、英語にたくさん触れることこそが大切なのです。ですから、私たち教師や親は、そのようなコミュニケーションの体験をできるだけたくさん子どもに与えること、そして、自らも子どもと一緒になって英語でコミュニケーションすることが最も大切だと言えるのです。




将来的に英語を話す場面に直面したとき、

自然に英語が話せるという事は大きなことだと思います。


英語が話せることによって、

子供にとって人生の選択肢が増えることもあるでしょう。


海外旅行に行ったときも困りませんね。


日々、英語を必要とする機会が増えているのも事実です。


この考えは私の考えであって、

他の人から見ればまったく違う考えかもしれません。


その人、その家庭ごと考え方も違うと思いますので、

必要だと思えば、英語を始めるのに早すぎるという事はないと思います。


各種教材で学んだり、本や新聞で英語を学ぶこともできますので、

必要だと考えれば、まずはチャレンジしてみましょう。



小学校の外国語活動に関する現状調査

出典:英検 公益財団法人 日本英語検定協会 https://www.eiken.or.jp/association/info/2012/0518_01.html


プレスリリース】

『小学校の外国語活動に関する現状調査』結果まとまる ~小学校での導入「進んでいる」との回答が9割超える・ 全国1463の公立小学校と564の教育委員会が回答~


2012年05月18日

公益財団法人 日本英語検定協会

英語教育研究センター


公益財団法人 日本英語検定協会(理事長:道明文夫、所在地:東京都新宿区横寺町55、以下「英検協会」)は、英語教育研究センターを通じてこのほど、『小学校の外国語活動に関する現状調査』を実施し、その結果をとりまとめました。

調査の対象者は、①全国の公立小学校の「学校長または外国語活動担当教諭」と、②全国の都道府県および市町村の教育委員会の「小学校外国語活動担当指導主事」。昨2011年9~10月に対象者へ調査票を郵送のうえ返信を求めたところ、①の公立小学校からは1,463 件(回収率29.3 %)、②の教育委員会からは564 件(回収率32.8 %)の有効回答を得られました。


本調査では、小学校における外国語活動について、現在の実施状況やそのなかで浮き彫りになってきた課題などを探るとともに、課題や問題点の克服に向けた現場での取り組みや教員研修の現況などについて尋ねています。

また、これらの結果を、昨年「小学校の外国語活動」の導入前に英検協会がほぼ同様な内容で実施した「平成22年度 小学校の外国語活動に関する現状調査」などの結果と比較することにより、導入後1年間の環境や取り組みの変化を明らかにしています。


今回の調査結果の概要を次ページ以降にまとめました。

より詳細な結果をまとめた報告書については、以下のPDFファイルをご覧ください。


「公立小学校の外国語活動に関する現状調査」教育委員会対象 平成23年9月実施)PDF

「小学校の外国語活動に関する現状調査」小学校対象 (平成23年9月実施)PDF




出典:努力の英語 http://blog.goo.ne.jp/languagestyle/e/6eeabce1d7698d4e002cb11684e8ceab

公立小学校の93.6%で英語活動


文部科学省は先日、「小学校英語活動実施状況調査」の結果を発表しました。新聞などでも取り上げられたようですから多くの人が知っていることと思います。(※囲み文章は文科省の発表の引用)


■英語活動


現在、小学校での英語の教科としての必修化が外国語専門部会において議論されており、おそらく近い将来には現実のものになると思われますが、現在はまだそうはなっておりません。そのため現在小学校で行われているのは「英語教育」ではなく「英語活動」であります。総合的な学習の時間を使って「国際理解」の一環として「外国語会話等」を行ってもよいということになっているのを利用したものが英語活動というわけです。


■どれくらいやってるの?(実施校)


先日の文科省の発表を整理しておきましょう。


全国の公立小学校22,232校のうち、20,803校が実施。

実施割合は93.6パーセントで、前回調査と比べ1.5ポイント増。



この調査は2003年度(平成15年度)から実施されているようですので、ここまでの数字の変化も見ておきましょう。


2005年度:93.6パーセント(22,232校を対象)

2004年度:92.1パーセント(22,232校を対象)

2003年度:88.3パーセント(22,5261校を対象)


■どれくらいやってるの?(時間)


年間平均実施時間数は、6年生で見た場合、13.7時間で、前回調査時の12.9時間と比べ、0.8時間増。毎月1コマ強の割合。



これはもちろん平均値でありますので、英語活動に熱心なところは週に1~2回くらいでやっているところもあるかと思います。ちなみに英語が小学校で必修化になった場合は週に1~2回くらいが予定されているようです。(広島市)


■指導者は誰?


「学級担任」、「英語指導担当教員」、「中・高等学校の英語教員」、「特別非常勤講師」、「その他(校長、教頭など)」の5項目で調査。

結果は、各学年とも、「学級担任」が最も多く、いずれも9割超。

6年生で見た場合、「学級担任」の指導割合は92.6パーセントで、前回調査時の89.0パーセントと比べ、3.6ポイント増。



なるほど、圧倒的に担任が教えているケースが多いようですね。TT等を活用して、なんとか授業が出来ているという状況が想像されます。


■ALTの参加は?


英語活動の実践に当たっては、ALT(外国語指導助手)や英語に堪能な地域人材等の積極的な参加が望ましいと考えており、「英語が使える日本人の育成のための行動計画」では、その実施回数の3分の1程度は、ALT、地域人材又は中学校等の英語教員が参加することを目標としている。

17年度にALTが授業に参加した割合は、各学年とも6割超。

6年生で見た場合、ALTの参加割合は63.1パーセントで、前回調査時の61.6

パーセントと比べ、4.5ポイント増。



ALTの活用については授業者がその人材を利用するという意味においては否定する要素はないと思います。特に音声面で子どもたちは参考になるところが多くあるでしょう。また、外国の人とかかわりを持つという意味においても非常によい経験となるでしょう。


■具体的に何をやっているの?


小学校の英語活動の時間には具体的に何を行っているのでしょうか?


活動内容について、「歌やゲームなど英語に親しむ活動」、「交流活動など実体験を通じて英語や異文化に触れる活動」、「簡単な英会話(あいさつ、自己紹介)の練習」、「英語の発音の練習」、「文字に触れる活動」、「その他」の6項目で調査。

結果は、各学年とも、「歌やゲームなど英語に親しむ活動」が最も多く、9割超。次いで、「簡単な英会話(あいさつ、自己紹介)の練習」が続く。

6年生で見た場合、「歌やゲームなど英語に親しむ活動」の割合は97.1パーセントで、前回調査時の95.6パーセントと比べ1.5ポイント増。「簡単な英会話(あいさつ、自己紹介)の練習」では94.8パーセントの実施となっている。



何をやっているのかの1位は「歌やゲームなど英語に親しむ活動」だそうです。これも「歌やゲーム」と聞いただけではまだその活動の良し悪しは判断しかねるところです。もしその「歌やゲームなど英語に親しむ活動」がそれだけで「ハイ、楽しかったね」で終わっているようであれば全くのお遊びの時間という評価になるでしょうし、その活動が「歌やゲーム」を通して英語のある一定の規則などを発見できるように仕向けるものになっているならばまたその評価は変わってきます。


----------REFERENCE----------


[小学校英語活動実施状況調査の概要]

2005年度(平成17年度):http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/03/06031408/001.htm

2004年度(平成16年度):http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/015/05071201/005/002.pdf

2003年度(平成15年度):http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/015/04070501/005/001.pdf

読売新聞(読売新聞 - 2006年3月17日)

日経新聞(日本経済新聞 - 2006年3月17日)


----------3/21日【追記】----------


公立小、93%が「英語活動」 「1年生から」75%朝日新聞 - 2006年3月20日


ということで、小学生1年生から教えているところが、全体の75%あるということも触れておくべきでした。小学校で英語教育を行う場合、何年生から行うのかと言うことはそれなりに大切な問題です。例えば、広島市などは小学校5年生から導入するということで一応の意見がまとまっているようです。この根拠となるのは、論理的思考が可能になるのがそのあたりの年齢だからということのようです。1年生から英語を導入しているところが75%もあるのであれば、いったいその根拠は何でしょうか?問うてみたいところです。


[REFERENCE]

http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1120177751051/index.html 

http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1123812146208/index.html 

http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1125534450866/index.html

http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1132287926617/index.html

http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1135745009227/index.html



どうなってるの? 小学校英語の「今」と「これから」

出典: 日経DUAL http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2327


どうなってるの? 小学校英語の「今」と「これから」

2011 年から必修になりすっかり定着、2020年には「教科」に

小学校で英語教育が導入されて3年。今、子どもたちは小学校でどんなことを教わっているのでしょうか。そしてこれから小学校英語がどうなるのか、専門家に聞きました。


2011年度から必修化、今後は前倒し&正式教科に

2008 年に外国語活動として小学5、6年生を対象にスタートした公立小学校の英語教育。2011 年には必修化となり、小学校英語もすっかり定着しているようです。


立教大学異文化コミュニケーション学部教授の藤田保先生によると「今の小学校英語の目的は、あくまでも英語に親しむこと。1.外国語の言葉や文化に慣れる、2.積極的に英語を使う姿勢を養う時間です」。


歌やゲームを通して、実際に英語を使う体験を重視し、あいさつや決まり文句が自然と使えるような授業を展開。その代わり、単語のスペルや文法、読み書きをあえて教えることはしていません。本格導入から丸3年を経て、「学校現場では、かなりよい雰囲気で浸透している」(藤田先生)ようです。


一方で、2013年末、文部科学省から、新しい方針が打ち出されました。東京オリンピック開催の2020 年度実施をめどに、英語の授業を小学3年生に前倒し、5年生からは国語や算数と同じ教科とするというものです。


「まだ正式な決定事項ではありませんが、全体的な方向はこのまま進むでしょう」




特に大きく違ってくるのは「教科化」で、検定教科書を使い、数値での成績評価もあります。「今の中1のカリキュラムがそのまま小学校にスライドしてくるというよりは、5年生からは3、4年生で親しんだ英語を〝使う〞ことを重視したカリキュラムになると予想します。単語のスペルが書けることよりも、アルファベットやごく基本的な単語が読めることにポイントがおかれるのでは?」

新しい学習指導要領はこの数年で具体的な骨子が固まりますが、「小学校英語の役割は知識の詰め込みではなく、英語への意欲を育むことを重視して吟味されていくと思います」。



TOP 子育て・教育 どうなってるの? 小学校英語の「今」と「これから」

子育て・教育2014.03.27

どうなってるの? 小学校英語の「今」と「これから」

2011 年から必修になりすっかり定着、2020年には「教科」に


 

藤田先生に小学校英語にまつわるギモンを聞いてみました


Q 小学校の英語は2020年までは変わらないのですか?

A 英語教育の前倒し、5 年生からの教科化というのは、あくまでも現段階の方針で正式に決まったことではありません。2020 年からの導入が確定した場合、その2 年前の2018 年から移行期間として徐々に導入がはじまります。逆にいえば、2017 年度までは今の指導要領のカリキュラムのままとなります。


Q 中学校・高校の英語の授業は変わるのですか?

A 実は中学校で2012 年度から、高校で2013 年度から実施している学習指導要領では、すでにコミュニケーション能力重視、使える英語の習得を盛り込んでいます。例えば、高校では英語の授業は基本的に全て英語で行うのが前提に。先生が一方的に英語で解説する受け身の授業ではなく、生徒たち自身が授業中に、読み・書き・聞く・話すの4 つのスキルを使う工夫が求められ、実践的に使える英語の授業になっています。


Q 教科化すると、誰が英語を教えるのですか?

A 今の時点では制度として小学校英語の免許がないので、正式決定後、大学の教育学部などで小学校英語の専科教員養成の準備がはじまるでしょう。導入当初は教員が足りないので、当面は中学校英語の免許を持つ先生を登用したり、担任を中心にしたチームティーチングなど、さまざまな方法が検討されるはずです。


Q 子どもの英語力を伸ばすには?

A 言語の習得では、自分の言葉で順序だてて考えたり、論理的に話す力が大切。実は早期教育よりも、普段から親子でたくさん会話をすることで子どもの言葉への感性を養うほうが、英語の上達には役立ちます。一緒に英語の絵本を読んだり、英語の音楽やDVD を見て、親が楽しむ姿を見せることも効果的。大人が英語を面白がることが、子どもの興味を引き出すきっかけになると思います。



小学校英語教育

出典: 歩み進学塾 http://ayumi-cramschool.com/%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E6%95%99%E8%82%B2%E3%80%80%EF%BD%9E%E3%81%9D%E3%81%AE1%E3%80%80%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%8C%87%E5%B0%8E%E8%A6%81%E9%A0%98%EF%BD%9E


小学校英語教育 ~その1 学習指導要領~

2014年8月7日

 

小学校の英語教育が変わるという話は、よく耳にされるのではないでしょうか?

歩み進学塾では、現在の日本の英語教育の大きな変化に対応し、また皆様の学習ニーズにお応えするため、小学校1年生から個別指導型英語教室Lepton(レプトン)を導入しています。

まずここでは、現状の小学校英語教育と今後の改定案に関してお伝えいたします。

 

2011年度より全国の公立小学校5・6年生対象に、アクティビティ型の英語授業が開始されました。現状、週1回・年間35時間の英語授業が公立小学校5・6年生の必修となっています。

このアクティビティ型授業には、他の教科のような指定の教科書はありません(教材は無償配布されています)。またテストも実施せず、数字などによる評定もつきません。つまり、まずは英語に慣れ親しみながら、コミュニケーション能力の素を養うというのが学習の目標となっています。

そして2013年10月に、文部科学省が現状の小学校英語教育を以下の内容へ改定する方針を固めたことが分かっています。

 

公立小学校3・4年生には、週1~2回のアクティビティ型英語授業を実施

公立小学校5・6年生には、週3回の教科型英語授業を実施

2020年までの実施を目指す

 

小学5・6年生は英語の授業時間数が増え、教科型(教科書・テストがあり、数字などの評定もつきます)の授業に変わることで、学習全体に占める英語の割合が今以上に大きくなります。

また東京オリンピック・パラリンピックが開催されるまでに順次改定していくことを目標としていますので、2020年より前に先行実施される可能性があるようです。

 

これらの学習指導要領が改訂されても当塾の指導内容は変わりません。Lepton(レプトン)では、楽しみながら英語の4技能(話す・聞く・読む・書く)をバランスよく学習していただくことができます。

また、私は小学生は楽しく英語を学ぶことが大切だと考えています。ただし、楽しいだけではダメだとも考えています。

是非、歩み進学塾で小学生の間にアルファベット・フォニックス・英単語・会話表現・文法などを楽しみながら身につけ、英語なら誰にも負けないという自信をもって中学校へご入学ください。